第8話余談 疑惑Plus

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(だけど、後藤君は職権乱用もいいとこだろ? 委員会の仕事を口実に、卿子さんの居る事務室に入り浸るなんて)  自分ができないことをあっさりやってしまう後藤に苛立つ。 (将之が手伝ってくれないんなら、どうやって後藤君を捕まえよう。理科室から、事務室のある管理棟は遠いし、四六時中見張っている訳にもいかないし。いつ来るか聞き出せたら、一番手っ取り早かったのに……)  知己は考え込んで、黙り込んでしまった。 (……)  そんな知己を見かねて 「……分かりましたよ」 (僕も甘い……)  将之が折れた。 「え、本当?」  先ほどまで暗く沈んでいた知己の表情が一変し、明るくなる。 「ただし、見返りがあってもいいでしょ?」 「えー? 俺とお前の間なのに、見返りなんているのか?」  不満げな知己に 「そうですよ。先輩と僕の間だから、見返りもあっていいでしょ? 約束反故しているんだから」  将之は毅然と言い放つ。 「分かったよ。それでいいから、後藤君のスケジュールを教えてくれ」 「分かりました」  将之は部屋に戻って、通勤カバンの中からスケジュール帳を取り出してきた。 「スマホで確認……じゃないんだな」 「別に。データを信用してないだけです」 「相変わらず、機械音痴も続行中なんだな」  将之の先ほどの意地悪い態度に、知己は言わずにはいられない。 「スマホでスケジュール管理してもいいんですが、僕の場合、変更多いし変更前のことも記録にとっておきたいし。紙ベースの方が何かと都合良いんですよ。大体、先輩だって相変わらず炭素と友達でしょ」 「うるさいな」     
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