第8話余談 疑惑Plus

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「で、見返りって?」  知己が尋ねる。 「高校時代の話をしていて、先輩と胴着でシたくなりました」 「はあ? 何言っているんだ。神聖なる剣道着にお前、何を妄想しているんだ?」 (今度は、コスプレかイメクラの本でも読んで、余計な知識をつけたか?)  と知己は思った。 「僕だって最初は気付いてなかったんですが。ある日を境に気付いちゃったんですよ。胴着ってちょっとエロいですよね。手を入れ放題というか、あの隙間が誘っているというか」  ある日=知己とシャワー室でブッキングした日である。  その日以来、高校時代の将之が眠れぬ夜には、妄想の中で知己が胴着で乱れている。 (そんな過去もあったな……)  将之が思っていると 「胴着なんか無いぞ。実家にも」  素気なく知己が言った。 「え、そうなんですか?」 「母親が『汗臭い』と言って、俺が部活引退したら速攻捨ててた」 「いわゆる断捨離ですね」  将之は、おおらかな性格の平野母を思い出す。 「お前の方は?」 「剣道は大学まで続けたんですが、何せ転勤族なんで、今はどこにあるかは分かりません。最悪、ないかも」 「似たようなもんじゃねえか」  知己がそう言うと     
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