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「うーん。じゃあ……ちょっと待って下さいね」
将之は、またもや自室に消えた。
しばらくして、なにやら探してきた。
手には浴衣を持っていた。
黒地に白い縞柄。
白地の角帯を手渡され、
「これを着て、今日はヤりましょう」
とにこやかに言われた。
呆れて知己は
「面倒だな。もう、普通でよくない?」
と言うが
「よくない。和服でシたい。本物の胸の合わせに手を突っ込むという、僕の長年の夢を叶えて下さいよ」
将之は引かない。
「変態。もう少し、まともな夢を持てよ。だから、お前はスケベ親父思考だと言うんだ」
「なんとでも言ってください。ちゃんと情報は教えたんだから、先輩は早く浴衣を着て下さい。折角だから、寝室で着替えて欲しいな。5分後に行きますから」
「なんだ、その注文の多さは」
寝室に押し込まれながら、知己は言った。
「こんな機会、滅多にないから楽しみなんですよ。先輩の和装を見られるのも久しぶりだし。あ、先輩、着替えられます? 手伝いましょうか?」
うきうきと語る将之が、年相応に可愛くも思える。
(考えていることはスケベ親父だが、本当は俺より二個も年下なんだよな)
「三年間、剣道部所属だった俺に何言ってやがる。3分後に寝室に来て良いぞ」
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