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素肌に胴着と袴のみを纏わせた知己を、将之は後ろから抱きすくめた。
知己は、少しだけ戸惑った。
だが、覚悟を決めていたのでほんのわずかに身動ぎしただけ。
「抵抗……しないんですね?」
将之が確認するように言うと、知己は僅かに頷いた。
どうしても胸の高鳴りを抑えられない。
こんなに密着されては、それがバレてしまいそうだと知己は思った。
夕闇迫る部活のシャワー室で、同性のしかも2つも後輩と、初めての性行為に及ぶとは思っていなかった。
他の部員は、だいぶ前に帰ってしまったらしい。
たまたま今日は部活の後片付けに手間取り、将之と二人残った。
後片付けが長引きそうだと思った部長の小松谷から戸締まりを頼まれ、知己は鍵を受け取った。
小松谷も帰ったらしい。
顧問も、早々に職員室に引き上げた。
本当に本当の二人っきり。
だけど将之は用心深く、誰にも邪魔されないようにシャワー室の内側からも鍵をかけた。
「先輩……好きです」
将之は改めて告白すると同時に、胴着の襟からのぞくうなじに唇を寄せた。
「あ……」
びくりと知己が震えるが、それ以上は動かなかった。
正しくは動けなかった。
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