第8話余談 疑惑Plus

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 そして、月曜日。 「やあ、後藤君」 「げっ! 平野先生」  東陽高校事務室で、知己は後藤と出会った。  知己が待ち伏せしていたので、当然と言えば当然の結果なのだが。 「奇遇ですね。こんな所で遭うなんて」 「まあ、高い代償は払ったからね」 「?」  後藤は意味が分からぬといった表情を一瞬浮かべたが、すぐに事務室の卿子を見つけて 「それじゃ、僕、仕事の途中なんで。あ、坪根さーん。教育委員会からの配布物をまたまた持ってきましたよー!」  と明るく声をかけた。 「こら。待て」  通り過ぎようとする後藤の背広の襟を、指先で知己が摘む。 「はい?」  猫のように捕まえられた後藤が、不思議そうに知己の方を振り返った。 「なんだその配布物は。それぽっちをわざわざ持ってきたのか? 郵便でいいだろう?」 「経費節減です」  きっぱりと断言する後藤に迷いはない。 「絶対に切手代の方が、君の出張旅費より安く済むと思うが?」 「それは平野先生の気のせいです」  どうしても事務室に入りたそうにする後藤に、 「デスクワーク……、貯まっているって?」  知己はトドメの一言を放った。 「……! どうしてそれを……?」  初めて後藤の顔色が変わる。 「だのに、仕事だ出張だと出歩き、更に仕事が雪だるま的に溜まりつつあるんだって?」 「あ、あの……!?」     
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