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(早く家帰って、ヌいた方が落ち着くかな?)
特に、深く考えはしなかった。
おおよそ帰る荷物をまとめ終わった所で、
「っ……、一体、何だってんだ?」
やたらとシたい気持ちばかり強くなっている。
一刻も早く帰って、
(したい。したい。したい。したい……)
張り詰めた自分のものを処理することばかり考えていた。
(何だろう。こんなことって初めてだ。これは、トイレで一度ヌいた方がいいかも。とても帰るまで持ちそうにないし、運転にも集中できそうにない)
いよいよ高まる性欲に、そんなことを考えていたら
「どうした? 先生。なんか苦しそう」
「……」
知己は顔を上げ、虚ろな瞳で、理科室入り口に再び現れた門脇の存在を認めた。
「まだ……居たのか?」
帰ったものとばかり思っていたが。
「図書室で勉強していたら、こんな時間になった。で、帰る前に先生に声かけようと寄ったんだけど」
帰る前に、一目なりとも会いたいらしい。
「それよりも先生、大丈夫か?」
門脇から見ても、知己は具合悪そうだった。
「なんでもない」
ぶっきらぼうに答える。
知己は顔を見られまいとそっぽを向いても、高揚した頬に潤んだ瞳が明らかに異常を伝えてきた。
「なんでもないって感じじゃねえよ。顔、赤いし、きつそうだし……、熱でもあるんじゃないの?」
門脇が、熱の有無を確かめに知己の額を触りに来た。
「!」
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