第9話 猛暑が人を狂わす夏季補講

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(早く家帰って、ヌいた方が落ち着くかな?)  特に、深く考えはしなかった。  おおよそ帰る荷物をまとめ終わった所で、 「っ……、一体、何だってんだ?」  やたらとシたい気持ちばかり強くなっている。  一刻も早く帰って、 (したい。したい。したい。したい……)  張り詰めた自分のものを処理することばかり考えていた。 (何だろう。こんなことって初めてだ。これは、トイレで一度ヌいた方がいいかも。とても帰るまで持ちそうにないし、運転にも集中できそうにない)  いよいよ高まる性欲に、そんなことを考えていたら 「どうした? 先生。なんか苦しそう」 「……」  知己は顔を上げ、虚ろな瞳で、理科室入り口に再び現れた門脇の存在を認めた。 「まだ……居たのか?」  帰ったものとばかり思っていたが。 「図書室で勉強していたら、こんな時間になった。で、帰る前に先生に声かけようと寄ったんだけど」  帰る前に、一目なりとも会いたいらしい。 「それよりも先生、大丈夫か?」  門脇から見ても、知己は具合悪そうだった。 「なんでもない」  ぶっきらぼうに答える。  知己は顔を見られまいとそっぽを向いても、高揚した頬に潤んだ瞳が明らかに異常を伝えてきた。 「なんでもないって感じじゃねえよ。顔、赤いし、きつそうだし……、熱でもあるんじゃないの?」  門脇が、熱の有無を確かめに知己の額を触りに来た。 「!」
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