第9話 猛暑が人を狂わす夏季補講

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 妙に意識してしまい、額を触ろうとした門脇の手を強く払いのけてしまう。  どっどっどっどと心臓が忙しなく打つ。 (な、なんだ、俺……)  焦りと共に門脇を見つめた。  門脇は、さも心外そうに 「何だよ、熱があるかどうかみようと思っただけだろ」  払われた手を引っ込めつつ、不満を告げた。 「あ、すまん……」  確かに過剰な反応だったと思う。 (なんで、こんなに意識して……)  呼吸も荒い。 (本当に体調悪いのかな? でも、だったらここがこんなになる理由が分からない)  そっと自分の下半身に視線を巡らせ、張り具合に思わず赤面してしまった。 「どうした?」  門脇が知己の視線を巡れば 「……」  あの門脇が口を閉ざした。 (ああ、バレたくなかったのに……!)  赤い顔を一層赤らめ、知己は目を瞑った。 「はは……。先生、どうしちゃったの、ソレ」 「うるさい。そこをどけ。もう、帰る」 「いやいや、それじゃ帰れないだろ?」 「……」  帰る前にトイレで処理しようと思っていたが、それを言うのは憚られた。  なにしろここは学校。  知己は教師。  門脇は生徒である。  そんな事、言える筈もない。 「な、先生」 「!」  門脇が、張り詰めた先端を布越しにそっと触ってきた。 「これ、俺がなんとかしてやるよ」 「……やめろ!」  またも振り払おうとしたが、うまく力が入らない。     
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