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そればかりか、体勢を崩し、そのまま門脇の胸にもたれかかってしまった。
(これじゃあ、俺が誘っているみたいじゃないか……!)
知己が慌てて離れようとしたが、
「先生……」
門脇はそのまま知己を抱きしめた。
身長など似たような体格だったが、知己が体調不良で肩を竦ませて小さくなっているので、ちょうど収まりよく門脇に抱きすくめられていた。
「分かったよ。この所為で具合悪いんだろ? 大丈夫。男同士だから、こういう事情も分かるって。多分、これ……ヌいたらよくなるから。俺に手伝わせてよ」
言い当てられて、慌てて離れようとするも
「いや、いい。ぅ……ッ」
門脇を押し返す力が妙に弱い。
(変だ。力が……入らない……?)
門脇に、布地の上から優しく撫でられ、抵抗する気持ちも力もどんどん奪われていくようだった。
「や、やめ……!」
ひくひくと体が震える。
快楽を享受するようでもあり、同時に拒否するかのようでもあった。
「せんせ……」
「?」
呼ばれて、俯いていた顔を上げると、門脇が唇を寄せてきた。
「……!」
下唇を啄むように吸われた。
(だ、ダメ……だ……!)
と思いつつも、知己の意志に反して口を開いてしまった。
門脇が唇をずらして、あらためて知己の口を塞ぐ。
「ん……っ……」
どちらからともなく、甘い息が漏れた。
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