第9話 猛暑が人を狂わす夏季補講

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 戸惑う表情を浮かべただけで、知己からはっきりとした否定はなかった。 (続けていいってことか)  勝手な判断をすると、門脇は尚も先端を摘み続けた。  やがて、くちくちという水音が聞こえ始めた。 「んっ……、ぁ……」 「夏休みだから、もうほとんどのヤツ帰っているから、誰もここには来ないし」 「んっ、……んっ……」  聞いているのかいないのか、曖昧な返事をし、知己は目を瞑って快楽を享受していた。 (気持ち善すぎて目を開けてられないのか、恥ずかしくて俺を見ることができないのか……)  その両方だった。  本来なら自分でするべき行為を、他人が施す。  それがこんなにもいいとは。 (やばい……)  想像を越える甘美な刺激を与えられ、先端からはとろとろと蜜が垂れた。  弄る門脇の指を濡らし、陰茎を伝って垂れてくる。 「ぁ……」  びくっびくと体が震え出す。 (もっと、強い刺激が欲しい……)  ぼんやりとした頭の中で、そんな欲求が大きくなってきた。 (先端だけじゃイけない……)  だが、そんなことを強請れるわけがない。  相手は門脇なのだ。 (もういい。後は自分でするから。お前は帰ってくれ)  そう言おうと唇を開いた。 「もっと……」  出てきた言葉は、真逆のもの。  知己自身が驚く。 「え?」  思わず自分に聞き返してしまう知己を後目に、門脇が 「分かった、もっとだな。してやるよ」  知己のズボンに手をかける。 (ダメだ……!)  止めようと門脇の手を慌てて抑えるが、やはり力が入らない。  拒否の声も出ない。 (ダメだったら……!)     
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