第9話 猛暑が人を狂わす夏季補講

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「……だだ……」  声を出すのも億劫そうな知己が、ぼそりと答えた。 「え?」 「まだ、だ……」 「まだって……?」  門脇に戸惑いの色が浮かぶ。 (参ったな。こんなに強い薬だったなんて……)  やがて、起き上がれる程度に回復した知己が 「……欲しい」  何かに取り憑かれたように言った。 「後ろに欲しい」 「……」 「欲しいんだ。後ろに、お前のを入れてほしい」  無言で近付いてきた門脇の腕にすがり 「まだ治まらないんだ。頼む。入れてくれ」  懇願した。 「いいの?」  思わず、改めて承諾を得ようとすると 「責任取るって言っただろ? ちゃんと最後まで取ってくれ」  知己は自ら俯せになった。  後ろを掲げて、門脇を待つ。  そこは先ほどの情事の激しさと、夏の暑さで汗に濡れていた。  汗だけではなく、解き放った知己の精液や、門脇の口淫で垂れた唾液や先走りの液もあるかと思う。  濡れる筈ない窄まりが、濡れて門脇を誘っていた。 「早くっ……、欲しいんだ」  手を後ろに回し、自らの指をぐちゅりと埋める。  豹変した知己の淫らさに、門脇はくらくらと軽い目眩のような感覚を覚えた。  魅了されたと言った方が正しいか。 (先生の、後ろ……)     
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