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第10話 混戦を招いた運命の体育祭
九月。
東陽高校は体育祭を迎えていた。
「体育祭には、良い思い出がないな……」
知己は、管理棟三年二組教室から特別教室棟へ向かう渡り廊下から自主練で賑わう運動場を見下ろしつつ呟いた。
二年前は、競技の仮装に付き合わされ、「ホスト」に仕立て上げられてアリエナイ紫ラメのど派手なスーツを着せられたのは、まだ良い方だ。
昨年は、門脇蓮の強引な学級会の運びで、仮装でゴスロリ衣装を着せられた。
コンセプトは「男の娘」だったらしい。
仮装競技は二年担任教師の宿命的競技なので、さすがに今年はない……と安心していた所、意外な落とし穴が待っていた。
「先生。俺、赤組の応援団長になったよ」
放課後の理科室に来るなり、門脇が報告する。
「そうか」
先日のHRで運動会の仕事分担や参加競技を決めた。
当然、担任たる知己もその場に居たのだ。
知らないわけがない。
「頑張るから、俺。全力で応援して、赤組を勝利に導くから」
「頑張れよ」
いつも冷めた態度の門脇にしては珍しい張り切りように、少し驚きつつも、教師として生徒のやる気は嬉しく感じていた。
「それで、先生。頼みがあるんだけど」
「何?」
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