第10話 混戦を招いた運命の体育祭

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「俺、赤組が勝つように全力で応援する。だから……その……」 「?」 「あの、な……赤組が勝ったら、俺にキスしてくれないか?」 「はあ?!」  何をどうしたら、そうなるのか。 「やっぱ、なんかご褒美がないとモチベ上がらないというか……。いや、もちろんなくても応援団なんだから応援頑張るんだけど、勝ったら先生のキスって凄くない? ものすごく、やる気出ると思わない?」  さも素晴らしい提案しているかのような門脇に、知己がどん引きして 「……思わない」  と答えた。 「なんで? どうして? 生徒のやる気を引き出すのが、教師の仕事だろ?!」  知己へと詰め寄る門脇に 「門脇……、お前、告白してからド直球だな」  同席していた菊池が、見るに見かねて声をかけた。 「その上、超がつくほどの剛速球だから、先生も受け止められなくてすっげ困ってるじゃねえか」  そんな菊池に、 「菊池……、俺は悟ったんだ」  門脇は静かに告げた。 「何を?」 「先生に回りくどい手は、効果がない。基本、先生は人間関係……というか恋愛に関してものすごく疎い」 「……マジか?」 「マジだ。年相応な恋愛経験積んでないどころか、下手すりゃ俺たちよりもスキル低い。だから、ド直球の超剛速球ぐらいで、ちょうどいいんだ」  菊池は、それ以上何も言えなくなってしまった。  菊池でさえ、知己の鈍さに思い当たる節は多い。 「お前ら、失礼だな」     
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