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生徒二人に「鈍い」と言われ憮然とする知己に
「と、いうわけで……。先生、いいだろ?」
門脇は、話を進める。
「全然、良くない」
不満をありありと浮かべ、知己は答えた。
「先生だって赤組応援団指導教師だし、赤組が勝つのは嬉しいだろ?」
組別応援団選抜の顔合わせで、知己が生徒・応援団指導にあたる教師ということを門脇は知っていた。
(と、いうか……門脇が赤組応援団長になった時点で、他の教師が敬遠し、結果として俺に回ってきた仕事なんだが)
教師の裏事情を知らない門脇は、知己が応援担当ということにすごく喜んだ。
その延長線上で、今回の「ご褒美」とやらを思いついたらしい。
「赤が勝つと先生も嬉しい。ご褒美があると俺も嬉しい」
「ふざけるな。大体、ご褒美なんて、そんな年じゃないだろ?」
「何だよ。生徒のやる気をなくさせるのかよ」
「不純だろ、そういうの。なんだか……賭け事みたいで。嫌だ。そう思わないか?」
元々門脇は弁が立つ。
それに対して、知己は苦手だ。
懸命に説得しようとするが、どうにも旗色が悪い。
「じゃあ、こうしましょう」
「?」
あらぬ方向から声が聞こえた。
理科室の入り口にクロードが、いつの間にやら来ていた。
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