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この応援衣装が、かつての部活の服装と同じなので、懐かしんでいるように見える。
「へえ。そんな決まりがあるんだ」
門脇の口ぶりから、どうやら門脇も知らなかったことらしい。
「上衣の紐を内側と外側、ちゃんと組み合わせれば自然に左前になるだろうに……。ほら。してみせるから、よく見て覚えろ」
と、知己が上衣をはだけた時である。
「!」
思わず門脇が息を呑んだ。
「先生……! なんだって、シャツ着てないんだ?!」
「合わせの隙間から下着が見えたら、かっこわるいだろ」
「だからって……!」
(俺以外の男に乳首見せなくても……)
門脇のよこしまな視線に気付いたのか、
「なんだよ?」
知己がそそくさと合わせを閉じて、胸を隠した。
「先生ー、こっち! こっちにも来て、教えてください!」
二年生らしき応援団員が、講堂の端で知己を呼ぶ。
「あー、もう。お前ら、まとまって一度に話を聞けよ」
知己は文句を言うが、
「すみません! 袴が絡まって、そこに行けないんです」
どうやら着物片手に身動きできず、数名、わちゃわちゃになっている。
見るに見かねて、知己は
「もういい。そこに行くから、無理してくるな。紐が余計に絡まるぞ」
慣れた手つきで袴を摘むと、裾を上げ、ひょいひょいと応援団員の間を駆け抜けていった。
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