第10話 混戦を招いた運命の体育祭

9/31

301人が本棚に入れています
本棚に追加
/318ページ
 いよいよ、運動会当日。 「はー、眼福。あー、幸せ」  美羽は呟く。  応援団は、得点競技になれば必ず出てきて応援をする。  その度に、勇ましい袴姿の門脇を眺め、幸せの絶頂に居た。  それとは対照的に 「あー、つまんない。はー、面白くない」  本部テント席で将之が呟いた。 「なんで今年は、先輩の女装がないんですか?」 「女装じゃなく、仮装。あれは2年生競技だから、3年担任の俺はお役ご免なの。……って、なんでお前がここに居るんだよ?」  知己が尋ねる。 「先輩。なんだか門脇君と言うことが似てきましたね」  後ろから声をかけてきた知己を振り返りつつ将之が答えた。 「そんな事はないと思うが……。それよりもうちの高校の担当は、後藤君の筈だろ? 癒着の心配とやらはどうなったんだよ?」  後藤が卿子の居る事務室に入り浸るのを必死に妨害した記憶は、知己にとっても新しい。 「あ、僕、うっかり先輩に話しちゃったけど、委員会人事の話は内々なので、大きな声では言わないでください」  とは言え、将之のことだ。  本当に大したことではないからこそ、知己に話したのだろう。     
/318ページ

最初のコメントを投稿しよう!

301人が本棚に入れています
本棚に追加