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いよいよ、運動会当日。
「はー、眼福。あー、幸せ」
美羽は呟く。
応援団は、得点競技になれば必ず出てきて応援をする。
その度に、勇ましい袴姿の門脇を眺め、幸せの絶頂に居た。
それとは対照的に
「あー、つまんない。はー、面白くない」
本部テント席で将之が呟いた。
「なんで今年は、先輩の女装がないんですか?」
「女装じゃなく、仮装。あれは2年生競技だから、3年担任の俺はお役ご免なの。……って、なんでお前がここに居るんだよ?」
知己が尋ねる。
「先輩。なんだか門脇君と言うことが似てきましたね」
後ろから声をかけてきた知己を振り返りつつ将之が答えた。
「そんな事はないと思うが……。それよりもうちの高校の担当は、後藤君の筈だろ? 癒着の心配とやらはどうなったんだよ?」
後藤が卿子の居る事務室に入り浸るのを必死に妨害した記憶は、知己にとっても新しい。
「あ、僕、うっかり先輩に話しちゃったけど、委員会人事の話は内々なので、大きな声では言わないでください」
とは言え、将之のことだ。
本当に大したことではないからこそ、知己に話したのだろう。
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