第10話 混戦を招いた運命の体育祭

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「じゃあ、何か? 緩めた着物の合わせからチラ見せの先生の乳首も拝んだのか?」  少しでも優位に立ちたくて、門脇は以前、練習で見た知己の姿を言ったが 「ちょ、門脇! 何を言っている?!」 「もちろん、チラ見せどころか、シャワー上がりで無防備な先輩も拝んだ訳だけど……」  言葉とは裏腹に、将之が (門脇君相手に、何のサービスしているんだ? 先輩は)  と密かに怒りの炎を灯していた。 「マジか? 畜生。羨ましいな」  門脇の本音ぽろりだが、更に門脇がどんな爆弾発言をぶち込むかと思うと、知己はもう気が気ではない。 「将之……お前、もう十分体育祭見ただろ? そろそろ帰ったら?」  まさかここで知己からも「帰れ」コールが飛び出した。 「嫌ですよ。こうなったら、最後まで見て帰ります」 「え? なんで?」  知己は、将之の居座る宣言に泣きたくなる。 「委員会は例年、午前中で帰るだろ?」 「でも、午後まで居たっていいでしょ? それとも居られたらまずいことでもあるんですか?」 「そ、そんなのはない……けど……」 (居られたら、将之に見られてまずいことが起きる可能性があるんだよ!)  とは、とても言えない。 「Mr.樋口。日本は『礼』の国だと聞いていましたが……」     
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