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本部席より少し離れた放送テント内で、クロードが樋口に尋ねた。
「ん? クロード、よく知っているな」
放送担当教師の樋口が振り向いた。
「私、武道に興味あって合気道を習いました。『礼に始まり、礼に終わる』が武道で、日本の精神だと聞いてます」
「そうだ。で、『礼』がどうした?」
「あそこ。来賓用テントで、教師と生徒が一緒になって来賓に『帰れ、帰れ』と連呼しているんですが。私の耳がおかしくなったのでしょうか?」
クロードの指さす方を確認し、
「ああ、平野と門脇に中位さんか。いいんだよ、あいつらは。じゃれているだけだから」
樋口は達観した口ぶりで答えた。
「じゃれて……? すごいComunicationですね」
「言っておくが、アレはBadなComunicationの例だ。お手本にはするなよ」
「Yes,ser.」
それでクロードは、遠巻きに三人を見ていた。
だが、将之の方が、そうはいかなかった。
「そういえば、例の仲良しイケメンハーフはどこですか?」
と見渡す。
(ああ、将之のめんどくさい攻撃が始まった……)
知己は目眩を覚えた。
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