第10話 混戦を招いた運命の体育祭

13/31

301人が本棚に入れています
本棚に追加
/318ページ
 本部席より少し離れた放送テント内で、クロードが樋口に尋ねた。 「ん? クロード、よく知っているな」  放送担当教師の樋口が振り向いた。 「私、武道に興味あって合気道を習いました。『礼に始まり、礼に終わる』が武道で、日本の精神だと聞いてます」 「そうだ。で、『礼』がどうした?」 「あそこ。来賓用テントで、教師と生徒が一緒になって来賓に『帰れ、帰れ』と連呼しているんですが。私の耳がおかしくなったのでしょうか?」  クロードの指さす方を確認し、 「ああ、平野と門脇に中位さんか。いいんだよ、あいつらは。じゃれているだけだから」  樋口は達観した口ぶりで答えた。 「じゃれて……? すごいComunicationですね」 「言っておくが、アレはBadなComunicationの例だ。お手本にはするなよ」 「Yes,ser.」  それでクロードは、遠巻きに三人を見ていた。  だが、将之の方が、そうはいかなかった。 「そういえば、例の仲良しイケメンハーフはどこですか?」  と見渡す。 (ああ、将之のめんどくさい攻撃が始まった……)  知己は目眩を覚えた。
/318ページ

最初のコメントを投稿しよう!

301人が本棚に入れています
本棚に追加