第10話 混戦を招いた運命の体育祭

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「先輩が教えてくれないっていうのが分かりました」 「なんだ、それ」 「教えてくれなくてもいいですよ。金髪、ハーフ、イケメンなんでしょ? そんなに目立つ人なら、いくら運動場が広くても見てたら分かるんですから。自分で探します」 (全然、分かってくれてない……)  知己は目眩の上に頭痛を覚えた。 「クロード見て、どうする気だ?」 「僕よりイケメンかどうか、確認するだけです」 「ナルシストめ。お前よりイケメンだったら、どうするんだ?」 「そうですね。教育委員会の権限で、異動させます」 「頼むから、冗談でもそんなことはやめてくれ」  知己は泣きそうになった。 「こんにちはー!」 「わあ、クロード! どうしてここに?」  無邪気に声をかけてきたクロードに、知己は思いっきり嫌な顔をした。 「来賓でしょ? Guestでしょ? 教育委員会の人でしょ? つまり私の雇い主ですよね? 一言、挨拶しておこうかと思いまして……」  遠巻きに見ていた筈のクロードだったが、知己とあまりに長く話し込む将之に挨拶しようと思いついたようだ。 「そんな事しなくていいよ。そういうのは校長が代表でしてくれるから、俺たちヒラ職員はしなくていいんだ」 「でも、知己はしてましたよね?」 (……『知己』!?)  将之が目を剥いた。 「俺は、挨拶なんかしてない」 「じゃあ、何を話しているんですか?」 「……」 (クロードの話だなんて、言えない……)  返答に困っていると、将之から     
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