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「なんで『知己』だなんて呼ばせているんです?」
案の上、怒りの一言が降ってきた。
(ああ、やっぱりこんな事になったよ……)
知己は、頭を抱え込む。
「……外国の人は、名前呼びが普通だろ?」
と言うも
「ここは日本ですから、その必要はない。『平野先生』もしくは『Mr.平野』が妥当でしょ? ……馴れ馴れしい」
吐き捨てるように、将之は言った。
「何なんですか、この人は?」
さすがにクロードも、将之の対応にかちんと来たらしい。
「教育委員会。ゲスト。来賓。今、君の言った通りの人物だけど?」
知己よりも早く将之が答える。
「ああ、納得しました。道理で、さっきから門脇君や知己が『帰れ』を連発している訳ですね。こういう失礼な人だから、帰れって言ってたんだ」
温厚なクロードにしては、売り言葉に買い言葉。珍しい反応だ。
「クロード!」
諫めるように知己が言うと
「知己。悪いのはあちらです」
心外だと言わんばかりのクロード。
「気持ちは分かるけど、将之が売る喧嘩を買うな」
知己は諭した。
「どうして?」
(俺が原因で、クロードが異動させられたら嫌なんだよ……とは言えないし)
先ほど言った通りのことを将之がしないとは限らない。
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