第10話 混戦を招いた運命の体育祭

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「なんで『知己』だなんて呼ばせているんです?」  案の上、怒りの一言が降ってきた。 (ああ、やっぱりこんな事になったよ……)  知己は、頭を抱え込む。 「……外国の人は、名前呼びが普通だろ?」  と言うも 「ここは日本ですから、その必要はない。『平野先生』もしくは『Mr.平野』が妥当でしょ? ……馴れ馴れしい」  吐き捨てるように、将之は言った。 「何なんですか、この人は?」  さすがにクロードも、将之の対応にかちんと来たらしい。 「教育委員会。ゲスト。来賓。今、君の言った通りの人物だけど?」  知己よりも早く将之が答える。 「ああ、納得しました。道理で、さっきから門脇君や知己が『帰れ』を連発している訳ですね。こういう失礼な人だから、帰れって言ってたんだ」  温厚なクロードにしては、売り言葉に買い言葉。珍しい反応だ。 「クロード!」  諫めるように知己が言うと 「知己。悪いのはあちらです」  心外だと言わんばかりのクロード。 「気持ちは分かるけど、将之が売る喧嘩を買うな」  知己は諭した。 「どうして?」 (俺が原因で、クロードが異動させられたら嫌なんだよ……とは言えないし)  先ほど言った通りのことを将之がしないとは限らない。     
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