第10話 混戦を招いた運命の体育祭

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 知己に関わったが為に、無実の罪でそんな目に遭わせてはたまらない。 「なんだか分かんないけど、険悪だわ……」  来賓用テントの横に位置する本部席テント内で、放送係になった御前崎美羽が呟いていた。 「よく分からないけど、そんな感じね。イケメン同士の対決」  同じテント内で、お茶を運んでいた卿子も呟いた。 「まだここに居たのかのかよ、先生!」  得点競技の応援が終わって、門脇が、いわゆる一触即発状態の来賓テントに飛び込んできた。 「先生も応援兼生徒指導係担当として、少しは応援席に戻れよ」  応援団は、応援席での生徒指導係も担っていた。応援総括教師である知己の席は、テント内にはなく応援席にある。その席になかなか帰ってこない(正しくは帰って来られない)知己を案じ、門脇が迎えに来た。 「そんなにそいつと居たいのか? 先生」  思わず嫌みを言えば、 「バカ言え。すぐに戻る」  知己は助かったと言わんばかりに、クロードの腕をとってテントから連れ去った。 「知己。私は、白組担当です」  真逆に位置する赤組に連れて行かれそうになり、クロードは慌てて知己を制す。 「分かっている。でも、このチャンスにテント出ないと、将之にどんな酷い目に遭わされるか……」  ぼそりと正直な話を語れば 「酷い目って?」     
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