第10話 混戦を招いた運命の体育祭

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「……か、かっこいい……」 「はあ?」  隣から聞こえてきたうっとりとした知己の感想に、門脇は耳を疑った。 「先生、何言ってるんだ?!」  門脇に言われ、 「い、いや。さすがネィティブスピーカーだと思って」  知己は我に返って、適当な理由を言った。  実際に見とれていたのだろう。  指揮台の壇上でクロードの金髪が揺れ、陽光を跳ね返すかのようだ。  冴えた青い瞳が門脇達を挑発するかのように見つめていた。  流暢なクロードの英語に合わせ、力強い応援団の合唱と演技。  また応援席でも白組全員の手拍子と合唱が合わさり、重なり合って、その迫力は厭が応にも増し、すばらしい一体感を醸し出していた。  知己でなくとも、目を奪われる。 「くっそ。あいつめ。こんなことを企んでいただなんて……」  門脇が異常に悔しがる。  応援の演技は、応援団の演技種目自体の演技・技術点と組全体の団結力の団結点で評価される。  どう見ても、白組の完成度が高い。  このままでは、敗北は必至だ。 「そんな門脇にバッドなニュースだ」 「……菊池? 何だよ、そのもって回った言い方は」  菊池が、不機嫌な門脇にさらに追い打ちをかけた。 「実は、さっきの騎馬戦で、俺、突き指しちゃったみたいで」  冷えピタを適度な大きさに切って貼ってもらった後の指を、門脇に掲げて見せる。 「はあ?」 「それで、太鼓のバチを持てねえ。指に全然力が入らないんだよ」 「はああああああ?!」  門脇は人目も憚らずに叫んだ。     
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