第10話 混戦を招いた運命の体育祭

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「騎馬戦って……! お前、あっさり負けてたくせに、突き指までしてたのか?!」  馬役は嫌だとじゃんけんし、奇跡的に勝って騎手になったと喜んでいたが、腕力は弱くてあっさり負けた菊池だった。 「勝敗と負傷は関係ない」  すまして答える菊池に 「屁理屈言ってる場合か!?」  門脇は怒鳴り飛ばした。  午前中、最後の競技・騎馬戦で赤組は窮地に陥っていた。  一回戦に行われる一騎打ちで、菊池ではないが赤の負けが目立った。  16騎中、赤が5騎、白が11騎勝ち残った。  二回戦は大将戦。  一回戦の勝敗結果を受けて、赤5騎と白11騎が縦に一列に、向かい合うように並び、順に当たって戦った。  順当に闘った結果、とうとう赤組は大将・門脇1騎対白組大将含む6騎という圧倒的不利な状態に持ち込まれた。  が、門脇は持ち前の運動神経の良さと普段の喧嘩慣れと腕力の強さで奮戦し、なんと6騎連続打破し、赤組を勝利に導いたのだ。  これには御前崎美羽を始め、赤組は狂喜乱舞した。 「どうすんだよ!? 俺たちの演技は、組体操ベースの集団行動だろ? それぞれのポジションで動きは決まっている。一人だって欠けられないんだ。菊池の代わりなんて、いねえよ!」  太鼓の音に合わせて、組体操の技を決めていく応援の演技で、かつ縦列や横列への変化や移動の美しさも追求した集団行動の動きを取り入れていた。  それぞれのポジションで動きは異なる。  誰も抜けられず、かといって指揮ともいえる大切な太鼓を、演技をよく知らない輩に叩かせる訳にはいかない。 「いや、居る」  菊池が指さした方を、門脇は見た。 「お、俺?!」    
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