第10話 混戦を招いた運命の体育祭

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 思いがけない指摘に、知己は戸惑いの声をあげた。 「先生なら、ずっと練習に付き合って、俺たちの練習を見てきている。演技や太鼓のタイミングを知っている」  菊池が言うと 「バカ言うな」  知己が激しく拒否した。 「嫌だ。教師が競技に加勢するなんて、子供の喧嘩に大人が出て行くようなもんじゃないか」 「白だって、教師が出てるじゃねえか?」  壇上のクロードを指差して、門脇が言うと 「それは、そうだけど……」  知己が言葉に詰まった。  口さがない近藤は「放任」と言っているが、知己は行事などは生徒主体で動くものだと思っている。教師が出しゃばるのは、よくないと思っているのだ。 (と、いうか……)  表だったことが嫌いな性格だった。  隙さえあれば、理科室に籠もりたがる知己に一体何をさせようと言うのか。 「先生。甘い」 「は?」 「キスなんて『ほっぺにちゅ』ぐらいだと思っているんだろ?」 「え?」  確かに、クロードの挨拶キスは、いつも頬に軽く触れる程度であった。 「外人の本気キスは、そんな可愛いもんじゃねえ。べろちゅーに決まっているだろ?」 「べ、べろ……ちゅ……?」  思わず、後退る。     
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