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つい、つまらなそうに言ってしまった。
「こういう服、限定だけど、な」
逆に菊池は、もたもたとその衣装を着けている所だった。
そんな話をしているうちに、応援競技の採点結果が出たようだ。
美羽の美声が、それを告げた。
「先ほどの応援競技の結果をお知らせします」
門脇、知己の動きが止まり、思わず聞き入ってしまう。
「白組・団結力十点に演技・技術点の十点を加え、満点の二十点……」
会場がざわめく。
「満点……かよ」
門脇の米神に、汗が流れる。
自分のことしか考えていなかったが、よく考えたら、白が勝てばクロードが知己にキス……という状況が生まれるのだ。
しかも、欲に駆られた自分の提案が原因で。
(そんな単純なことが、分からなかったなんて)
あれほどの演技だ。
練習を積み重ね、練度も増している。
当然のように赤が勝つと思い、自分にキスしてもらえることしか考えていなかった。
(冗談じゃない。なんで先生が、あいつにキスなんか……!)
舌を絡めとられまるで真上から喉奥に唾液を流し込まれるような恐ろしいキス妄想が、門脇と知己の頭の中を駆け巡り、二人は今日の晴れ渡った空のごとく青ざめていた。
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