第10話・余談 体育祭plus 1

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 玄関で、ガチャガチャと鍵を操作する音がする。  将之が時計を見ると、既に0時近い。 「遅かったんですね」  一次会で終われば22時頃。この時間……ということは、珍しく二次会まで行ったようだ。 「将之。起きてたのか」  玄関まで出て行ってみれば 「……今日は、いろいろとサービス満点ですね」  知己の姿を見て、少し間をおいて将之が言った。  知己は、昨年のゴスロリ衣装を着た上に化粧までばっちり施されていた。 「うるさいな」 「今年は女装を免れたんじゃなかったんですか?」 「……樋口先生だ」 「はあ」 「あの人が酔っ払って、『平野の女装がない体育祭は面白くない!』と叫んで、その上卿子さんまで『待ってました! メイクは私に任せて!』なんて言い出したもんだから」  好き好んでしたわけではないことを主張したそうだが、知己の語る女装に至る理由で (あ、分かった。結局、樋口先生はともかく卿子さんに押し切られたんだな、先輩は)  将之は合点がいった。  樋口がどうこう言っても、毛嫌いしている女装なんてする訳がない。  だが卿子がメイクするとなれば、自然と知己に近寄る。  それを分かっていて、知己が断れる筈などないのだ。  そこで将之は、はっと気付き 「あいつは?」  と尋ねた。 「え? あいつって?」     
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