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第10話・余談 体育祭Plus 2
やっぱり、な。
そう門脇は思わざるを得ない。
図らずも昼間に、知己の乳首を見たのだ。
こんな夢を見るのだろうと、おおよそ予想はしていた。
応援団の衣装を身につけた知己が、門脇のベッドに腰かけ
「蓮ー。まだか?」
と待っている。
「もうすぐ宿題終わるから、待っててよ」
学年1位独走の門脇だが、宿題を終えるのに0秒という訳でもない。
それなりに時間はかかる。
(教師はやることやってたら、俺の行動に文句はない)
の門脇流儀で、学業の類は一通りこなしていた。
それこそ文句の付けようがないくらいに。
模試は常に全国でも上位に位置していたし、定期テストはもちろんテストと名の付くものは、ほぼ満点。宿題もレポートも完璧に提出していた。学業的には、非の打ち所のない優等生ではある。
あくまでも「学業的には」で、あるが。
今でこそ学級委員などしているが、知己と知り合う前の素行は、酷いもので小学校時代からの有名人だった。
大人が大嫌いで、特に普段から接する大人の代名詞たる「教師」の言うことにいちいち揚げ足を取る、からかう、巫山戯る。もちろん、授業中の態度も褒められたものではない。教師の目の前での明らかなよそ見、居眠り。注意されたらその百倍は言い返した。他の生徒まで巻き込んでの授業妨害も当たり前。当然、教師達から煙たがられた存在だったが、ひょんな事から知己に懐いてしまい、随分とその行動が変わった。それでも、いまだ知己以外の教師嫌いは相変わらずだが。
「早くしろー」
知己が後ろから門脇に抱きつく。
「うわ、数学か……」
門脇のノートを見て、知己が呻く。
「理科なら教えようかと思ったのに」
(おいおい、宿題出している本人がそんな事していいのかよ)
リアル知己とドリーム知己は、別人なので、それもありかと思う。 その
ドリーム知己は、門脇の後ろから体を伸ばし、机の上のノートをめくった。 「後、ちょっとで終わりそうか?」
強請るような視線で問う。
「まあね。この設問で終わりだよ」
と答える門脇の目に飛び込んできたのは、上衣の合わせから覗く知己のそれだった。
どうやら、わざと合わせを緩めておいたらしい。
合わせの隙間からそれを見せつける為に、後ろから伸びて門脇に体をすり寄せていた。
その突起は上衣で擦れてほんのり赤く染まって、門脇を誘っていた。
ごくり。
門脇の喉が鳴るのを確かめて、知己は
「でも、待っている間って暇なんだよなぁ」
体を翻し、器用に体を机の下に滑り込ませて門脇の前にしゃがみ込んだ。
「後、設問一個くらいなら、ちょっと悪戯してもいいだろ?」
門脇に承諾得るように言っているが、返事は待たない。
「何? あっ……!」
門脇のファスナーを下ろす。
「ちょ、待てって、先生!」
先ほど、知己に見せつけられた所為か、それともやたらと体を擦り付けてきた所為か、そこは緩く立ち上がっていた。
「ふふん。お前だって早くしたいんだろ? ほら、嬉しいって言えよ」
門脇の願望を反映しているのか、夢の中の知己はいつだって積極的過ぎるくらい積極的だ。
(現実では、絶対にしてくれないくせに……)
おもむろに門脇のものを口に含む。
「うっ……」
低く門脇が呻くと、知己はその反応が嬉しいらしい。目を細めて、舌を動かし始めた。
ゆっくり全体を舐った所で、一旦、口から引き抜き、先端を舌でくすぐった。
すると、門脇から更に
「うっ……、ぅ、ふっぅ……」
くぐもった声が漏れた。
とても宿題どころではない。
「ふふ。だいぶ大きくなったな。育て甲斐がある」
股間で、知己が呟く。
「教師冥利に尽きる」
そう言って、再び奥までそれを頬張った。
「ぅっ……!」
門脇から、切ない声が漏れる。
「せ、せんせっ……!」
「ん?」
知己は、口からそれを引き抜き、門脇の次の言葉を首を傾げて待っている。
「キス……しよ」
「ふふっ」
「なんで、そこで笑う?」
「偶然だな。俺もここじゃなくお前にキスしたいと思ってたから」
「……んなこと、言うか?」
もぞりと門脇は腰を動かした。
知己からのおねだりに我慢が利かなくなっている。
ただでさえ、愛しい知己にこんなことしてもらっているのだ。甘いやるせない思いが門脇の胸を占め、それが腰への疼きに変わる。
「……こっち向いて」
自分の股間に座り込む知己の顔を捕らえ、上を向かせる。
知己は伸び上がり、門脇は腰を曲げて知己にキスを落とした。
「んっ……ふ、ぅ……」
門脇は舌を差し入れた。
知己はそれを絡めて、歓迎した。
やがて、舌を絡め合う音が、くちゅくちゅと聞こえ始めた。
「んっ、んんっ……」
知己が鼻に抜けるような、甘えた息づかいをしている。
(ああ、先生。先生。先生……)
頭の中が痺れ、知己のことしか考えられなくなった。
長いキスを終え、ようやく唇を離すと、知己の口の端から飲みきれなかった唾液がつうっと糸を引いて流れた。
(うわ、エロ……い)
思わず、見入ってしまう。
「ふふ……、キスで感じたのか?」
門脇の中心に目を落とし、知己が嬉しそうに笑った。
それは、口淫していた時よりも更に猛々しく反っている。
「好きだよ、蓮。早く、宿題終わらせろよ。俺、待ってるんだから」
そういうと、自分とのキスで大きくなった門脇のものに、愛おしそうに口に含む。
そして、待つといったくせに、本当は待てないのだろう。またもや、舌を動かし、知己は口淫に耽りだした。
(ああ、もうちょっとで宿題終わるのに……! そしたら、思いっきり先生を抱いてあげられるのに……!)
自分の股間に顔を埋め、待ちきれずに奉仕する知己の髪を、そうっと梳くように撫でる。
そこで門脇は、ふと気づく。
(待てよ。これって夢の中の話だよな。何を律儀に宿題やってんだ、俺は)
そう、リアル門脇は宿題を終わらせ、寝ているのだ。あまり考えたくはないが、下着の中では、股間をぱんぱんに腫らして。
門脇のものを形どおりに舌で這い、大切なものを育てるかのようにキスをしていた知己に
「先生」
と声をかけた。
「何?」
「もう、イける」
「そうか。さすが、若いな」
「い、いけるってば。次は先生の番だって」
ベッドで続きをしようと持ちかける門脇に、かまわず知己は奉仕し続けた。
「な、なんで?」
「お前、若いんだ。何回もしたがるだろ?」
そう。
夢の中での門脇は、1度くらいで満足しない。したことがない。
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