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「学生が授業中にこれをやりとりしてたから、不謹慎だと取り上げたって言ってた。反省文書いてきたら返すって約束で、一時預かっているんだって。研究室に置いて、他の学生の目に触れてもまずいからと鞄の中に入れてたら、間違って家に持って帰ってしまったって言ってたな……」
風邪気味の家永を家に送っていった時、ベッドに連れて行って寝かせようと部屋まで上がった。
その時にテーブルに出しっぱなしだったものと同じものだった。
DVDを見つけ
「珍しいな、お前がこういうの観るなんて」
と知己が言うと、鼻声で家永が説明してくれたのだ。
「休み時間にやりとりすればいいものを、わざわざ講義中にやりとりするのは学生がたるんでいるか、講義を舐めているか、どちらにしろふざけた態度なので一旦没収することにした」
と言っていた。
「何ですか、それ。本当は、自分が観ようと思ってたのを先輩に見られて、苦しい言い訳をしているんじゃないですか?」
「別に言い訳じゃないだろ。家永はAVがあまり好きじゃないんだ。学生の頃からみんなで一緒に観るのも付き合いでその場に居るだけで、凄く嫌そうにしていたのを俺は知ってるし。……なんで、さっきから突っかかるかな、お前」
ますます険悪になる二人に
「すみません。もう俺、帰ります。本当にすみません。じゃ、また月曜に……」
後藤は、なんだか泣きそうになりつつ靴を履いていた。
「あ、後藤君……!」
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