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将之が冷たく言うと
「だから、家永がAVを持つってのがないんだよ。さっきも言ったけど、家永はAVが好きではないんだから」
「そりゃ、知己先輩と一緒にAV観るって嫌でしょうよ。自分がそういうシーン観て興奮しちゃったり、妙な気分になっても好きな人が傍に居れば気まずいだけだし」
「え……?」
(家永がAVを見るのを嫌がってたのは、俺が居たから?)
やっと将之の言う意味を理解し、知己が途端に赤くなった。
「そういう……意味……?」
やたらと家永を庇い、その上、家永の気持ちを意識して赤くなる知己の反応に、将之は益々不機嫌になった。
「家永さんちで先輩はケースを見ただけで、中にDVDが入っているかどうかは確認してないでしょう? 中身は、ちゃっかりデッキの中だったんじゃないですか?」
知己が懸命に守ろうとする家永を、どうしようもなく貶めたいような気持ちに駆られた。
「そりゃ、もちろん中身まで確認してないけど……」
家永の真意に気付いても変わらない知己の態度に
「本当に、あの人を庇いまくりですね……」
呆れるしかなかった。
「お前は疑い過ぎだよ」
「疑いたくもなりますよ。このケースを見て、なんとも思わないんですか?」
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