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将之は、TVモニターの正面のソファに知己を連れて来ると手をやっと離してくれた。
すかさず
「ほら、先輩。あなたの指定席」
と自分の膝をぽんぽんと叩いてみせる。
「はあ?」
膝に座れとでも言うのか?
「やだよ。なんで、そんな所に座らなくちゃちゃならないんだ? いつも通りでいいだろ?」
将之より20㎝離れて、ソファに座る。
「やだな。たまには甘えさせてくださいよ。人間抱き枕で、DVDを観たいんですよ」
(……AVでそういうシーンでもあったのか? それとも)
またしても怪しい本で余計な知識を仕入れたか?
(将之の趣味の広さに呆れる……)
将之は暇さえあれば本を読んでいた。
一番好きなのは歴史関係の本らしいが、書庫にはジャンルを問わず本が溢れかえっている。
今は電子書籍にも手を出しているが、それがなければもっと凄いことになっているだろう。
「それとも……家永さんちで、僕の傍に寄れないような匂いでも付けて帰ってきましたか?」
(……また、始まった)
「お前、今日は一段と意地悪だな」
「まさか。かなり心広いなぁと自分でも感心するほどですよ」
(どこが?)
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