第4話 門脇推しAVにまつわる話・1

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 将之は、TVモニターの正面のソファに知己を連れて来ると手をやっと離してくれた。  すかさず 「ほら、先輩。あなたの指定席」  と自分の膝をぽんぽんと叩いてみせる。 「はあ?」  膝に座れとでも言うのか? 「やだよ。なんで、そんな所に座らなくちゃちゃならないんだ? いつも通りでいいだろ?」  将之より20㎝離れて、ソファに座る。 「やだな。たまには甘えさせてくださいよ。人間抱き枕で、DVDを観たいんですよ」 (……AVでそういうシーンでもあったのか? それとも)  またしても怪しい本で余計な知識を仕入れたか? (将之の趣味の広さに呆れる……)  将之は暇さえあれば本を読んでいた。  一番好きなのは歴史関係の本らしいが、書庫にはジャンルを問わず本が溢れかえっている。  今は電子書籍にも手を出しているが、それがなければもっと凄いことになっているだろう。 「それとも……家永さんちで、僕の傍に寄れないような匂いでも付けて帰ってきましたか?」 (……また、始まった) 「お前、今日は一段と意地悪だな」 「まさか。かなり心広いなぁと自分でも感心するほどですよ」 (どこが?)     
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