第4話 門脇推しAVにまつわる話・1

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「先輩と家永さんが会うのを、ものっすごく我慢しているんですから。ね。だから、今日は人間抱き枕をさせてください」 (ああ、もう……!) 「……」  知己は無言で将之の膝に座った。  知己の耳元に将之が顔を寄せ 「変な匂い、しない。……良かった」  心底安心したように呟く。  その声と吐息に、知己の背筋が震え、頬がかっと赤くなるのが自分でも分かった。 (あ、こいつの声……俺、好きだったのを忘れてた)  一緒に住み始めて一年以上経つ。  最近は聞き慣れてすっかり忘れていたが、知己は将之の甘い低い声が好きだった。こうして近くで聞くと、改めてそれを思い出す。  居心地悪そうにもぞもぞと身じろぎすると 「どうかしましたか?」  将之が覗き込む。  こんなに近くに居ると、そんな事を考えているのさえばれるような気になり、 「何でもない」  知己はごまかすように画面に視線を移した。  だが、赤くなった頬はすぐには戻らない。  それを見て満足そうに微笑んだ将之を、そっぽむいた知己は知ることができなかった。 「あれ? 途中から?」 「当たり前です。まだ序盤だったんですが、先輩が来るまでは後藤と観てたんだから」  だから、帰ってきた時に後藤が妙に慌てていたんだな……と理解した。 「しかし……後藤君とこれを……」     
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