第4話 門脇推しAVにまつわる話・1

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「どっち視線で見てます?」  と聞かれた。 「え?」  尋ねられた意味が分からず、逡巡する。 (どっち視線って……) 「お、……男の方に決まっているだろ!」  うっかり女優側で見てしまっていたことに気付き、真っ赤になって答えた。 (ああ。くそ……ダメだ! こういうのを男視点で見られなくなっているなんて、俺、やばい。というか、この女優の顔がダメだ!)  知己は、もう何でもいいから、自分ではない誰かの所為にしたくて、とりあえず自分似の女優の所為にした。 (……あれ?)  ふと、背中に違和感を覚える。 「……」  知己は、背中から覆い被さるように将之に抱きつかれてTVを見ていたのだが、さっきから妙な感覚がある。 「将之……」  と問えば 「なんです。良い所で声かけないでください」  不満げに将之が答える。 「背中に、なんか当たっているんだが……」  と言えば 「当てているんですよ」  視線はモニターに釘付けのまま、将之が答えた。  何かの文献に影響されたその口ぶりに 「……また、何かの本を読んだか?」  と聞いたら 「ええ、ちょっと」  将之は素直に答え、そのまま黙した。  知己の方は、将之とは逆に、背中に当たる将之のものが気になって、もはやAVどころではない。     
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