第4話 門脇推しAVにまつわる話・3

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第4話 門脇推しAVにまつわる話・3

 その時、家永は 「いや、これはナイ」  と誰も居ない自室で、DVDを観つつ呟いた。  十代の時にはそれなりに興味もあった。  だが、大学の友人達と見るAV鑑賞会(?)では、いつも平野知己が同席していた。  親友なのだから、そういう集まりに行動を共にするのは当然と言えば当然だったが、それ故に知己の前で欲情した自分を見せたくなかった。  できるだけ、見て見ぬ振りをした。  そういう経緯もあり、三十路目前の最近は、そこまで滾るものを感じなくなってきた。  元々研究者肌というか、時間を研究に費やしたいと思っていた。  はじめは面白くもあったのだが、だんだん「毎回同じパターン」と分かってきたのも冷めた原因の一つだ。 (適当に前戯してセックスして、最後はぶっかけて終わる)  などと冷静に分析してしまう。  研究者体質が仇となっていた。  それで言ったら、今回のDVDは異色な作品とも取れた。  家永晃一には、性欲も人並みにあったのかもしれない。  この場合、人並みというのがよく分からないのだが。  根本たる原因は、好きになった相手が悪かったとしか言いようがない。  大学の同級生・平野知己。  正真正銘の男である。     
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