第4話 門脇推しAVにまつわる話・3

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 家永はゲイという訳ではなかった。  それこそ十代には女性に欲情していたし、それなりにアダルト関係のものを見聞きしていた。  ただ、たまたま好きになった相手が知己(男)だったのだ。  知己は家永の事を親友として、心底信頼し、信用し、遠慮なく甘えてくる。  それが、心許してくれている証拠と思え、家永は嬉しくもあった。  が、苦しくもあった。 (親友と思ってくれている……)  それが重く家永にのし掛かっていた。  この信頼を裏切るのが、怖い。  自分の欲望をぶつけて、知己が永遠に目の前から去ってしまうのが怖い。  時々、家永の部屋にやってきては夕飯を食べたり酒を飲んだり、果ては泊まって帰るなど、大学生の頃はざらだった。  嬉しい反面、地獄のような苦しみも味わった。 (いわゆるこれが「蛇の生殺し」ってヤツか?)  隣ですーすーと穏やかな寝息立てる知己を見て、思う。  家永の下宿はロフト付きの1LDK。  まさに学生の為のコーポである。  当然、客用の布団などなく、布団は家永が通常使うシングルベッドの一組しかない。  二人で寝るには狭いベッドに、きゅっと身を寄せ眠った事も数え切れないほどある。     
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