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噂には聞いていたが、最近の学生の文章離れは酷い。
その日のうちの反省文を書いてくるかと思えば、なかなか書いて持ってこない。
研究室に置いておく訳にもいかず、とうとう家永は自宅まで持ち帰る羽目となった。
明日は、その知己と会う日。
鞄の中に入れっぱなしにもできずに、DVDだけではなく要らないものはすべてテーブルに出した。
その時だった。
勢いよく出したものだから、袋からするりとDVDが飛び出した。
その表を飾る乱れた姿の女性の顔を見て、家永はすぐに気付いた。
(平野……のDVD?)
時間を作るため、連日の徹夜が祟っているのか、少し頭がぼんやりとする。
家永の鋼鉄の意志が揺らぐ。
(あいつは元から綺麗な顔立ちで、美人といえばそれなりに通用するものもあったんだが、まさかソックリさんの女性が居ようとは……。平野が知ったら、どんな顔をするだろうか)
などと、それこそ知己への興味で見始めたものだった。
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