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セックスすることを前提のDVDに対し、家永と知己は男同士であり、知己は親友としか家永をみられなかった。
知己は、欲望に流されそうになりつつも必死に抗い、家永に「友達でいたい」と告げた。
家永の事を心の底から信頼し、大切に思っているからこそ言えた言葉だった。
(そして、俺の方が屈した……)
正しくは、鉄の意志が蘇った。
知己のその一言で。
だが、時既に遅く。
今回は、その鉄の意志が戻ることはなかった。
家永以外誰も居ない部屋、そしてそういう事を目的に作られたDVDの前だ。
当然だろう。
家永の脳内ですっかり女優と知己がすり替えられていた画面を見つつ、家永は無意識に手が伸びて、触っていた。
「う……、ぁ……っ……!」
久しぶりの感覚に、家永が呻く。
指をそこに絡め、思うさま扱く。
脳内で変換された知己の声が、顔が、家永の理性を蕩けさせる。
あの時、濃密に味わった知己の唇の味さえも蘇る。
知己の内部は温かく、柔らかく、どこまでも家永を魅了していた。
また、前日の余韻で、容易く家永の指を銜え込んだそこが、言葉とは逆に家永を欲していたのを知っていた。
その証拠に、知己も中心から蜜を溢していたではないか。
家永とのキスだけで、感じてしまっていたではないか。
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