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いつの間にか、脳内の男優も家永にすり替わっていた。
画面の中の家永は、激しく知己を突き動かしていた。
あのときと同じように、知己の内部の善い所を攻め立てた。
今度は指ではなく、自分の猛るもので。
すると
「はあ、あ、ぁ……ん……あ、ぁ……ぅぁー……っ!」
とうとう堪えきれずに画面の中の知己が果てた。
と、同時に家永もその欲望を放った。
「平野、ごめんな……。でも、俺は痛くしないから。お前の嫌がることは、今後も絶対にしないから」
「え? 何? 何の話?」
「……いや、何でもない」
会いしなに、思わず詫びた。
幸いな事に、知己は何の事やら分からなかったようだ。
唯一の誤算は、風邪で朦朧としていた為、テーブルにそれを出しっぱなしだったことを失念し、知己に部屋まで送られてしまったことだった。
「珍しいな、お前がこういうの見るなんて」
知己は、家永がAV嫌いだと思っているらしかった。
(あのDVDに関する真実を伝えたが、俺が購入したものと思われなかっただろうか)
とか
(ベッドまで連れてきてくれるのなら、そのまま添い寝してくれてもいいだろうに)
とか、考えても仕方ないことを、いつまでも考えてしまう家永だった。
-第4話・了ー
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