第5話 春の日に理科室へ訪れた客

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「平野先生と手を繋いだ子」 「あ、……そうですね」 (そういう覚え方?)  思わず知己は苦笑いを浮かべる。  するとクロードが 「じゃあ『菊池君』というのは、サインを送っていた方の子だな」  と不可解な事を言いだした。 「サイン?」 「あれ? もしかして、平野先生は気付いていなかった?」 「はあ」 (何の事だろう?)  と思っていると 「レクの最中に、菊池君が司会をしつつグループの周りをうろついていたでしょ。そこで、私、気付きました。平野先生がくじを引く度に、菊池君が先生の後ろに回り込むんです。先生のナンバーを盗み見ていたようでした。その後、サインを送っていました。サイン送る度に門脇君が頷いていたので、門脇君にあなたのナンバーを知らせていたんだろうと思いました」 「はあ!? そんなズルをしていたんですか、あいつら」 「ズル……?」  クロードが困った顔をした。 「ええっと……英語で……、あ、そうだ。カンニング!」 「ああ、cunning.あははー。cunning.cunning」  クロードは納得いったようでにこにこと笑い出すが、知己は (あいつら……)  怒りが込み上げてくる。     
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