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「平野先生と手を繋いだ子」
「あ、……そうですね」
(そういう覚え方?)
思わず知己は苦笑いを浮かべる。
するとクロードが
「じゃあ『菊池君』というのは、サインを送っていた方の子だな」
と不可解な事を言いだした。
「サイン?」
「あれ? もしかして、平野先生は気付いていなかった?」
「はあ」
(何の事だろう?)
と思っていると
「レクの最中に、菊池君が司会をしつつグループの周りをうろついていたでしょ。そこで、私、気付きました。平野先生がくじを引く度に、菊池君が先生の後ろに回り込むんです。先生のナンバーを盗み見ていたようでした。その後、サインを送っていました。サイン送る度に門脇君が頷いていたので、門脇君にあなたのナンバーを知らせていたんだろうと思いました」
「はあ!? そんなズルをしていたんですか、あいつら」
「ズル……?」
クロードが困った顔をした。
「ええっと……英語で……、あ、そうだ。カンニング!」
「ああ、cunning.あははー。cunning.cunning」
クロードは納得いったようでにこにこと笑い出すが、知己は
(あいつら……)
怒りが込み上げてくる。
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