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(俺はあのレクを、すっごい複雑な気持ちで付き合ったのに……! そんなズルをしていたのか……!)
先日、将之から、また嫌みを言われた。
「そういえば、門脇君問題は解決したんですか?」
「ああ、まあ……うん……。解決はしてない……な」
「なんですか? 歯切れの悪い言い方して」
「問題……続行中というか、悪化してるというか」
「悪化? やむえず担任することになったのは、聞いてますけど」
「うん。まあ、その……う、ぅぅ……」
まさか、手を繋いで妙な空気になったとは言えず、知己は黙った。
そんな知己に呆れたように
「可愛い生徒を傷つけたくないのは分かりますけど、曖昧な態度はもっと傷つけるんですよ」
と将之は示唆した。
「分かってる」
「どうだか」
「何だよ」
「先輩は分かっているつもりで、分かってないことが多いんで。これでも僕は心配しているんですよ」
などと嫌みに近い心配をされたばかりだ。
(俺が色々と勘違いしたり、そういうことに鈍感だったりで、問題をややこしくしているのは分かっているんだ)
とは言え、そういう性格は簡単には治らない。
この間のレクも不可抗力で門脇と手を繋いだと、自分を納得させていた所だったのに。
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