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「そう。『紅毛人』とは、江戸時代の西洋人を指す言葉。髪が赤かったことに由来するんだけど……この説明で分かります?」
「I see.分かります。でも、私、髪は赤くないですよ。blond hairですが」
「まあ、総称だから。最終的には、髪が金色でも茶色くても西洋人をそう呼んでいたって話です」
と、歴史読本が好きな将之が語っていたのを思い出しつつ答えた。
そうこうしているうちに、門脇達がクロードのすぐ隣までやってきた。
「誰の許可を得て、先生にくっついてんだよ?!」
即座に掴みかかる。
(教師に暴力振るったら、どんな理由があっても停学処分……!)
いい意味でも悪い意味でもカっとなった門脇の瞬発力は侮れない。
身をもって知る知己は
「やめろ、門脇!」
窓枠から伸び出して、クロードと門脇の間に割って入る。
が、クロードの方も寸での所で門脇の掴みかかる手を躱した。
結果、門脇の腕は宙を切っただけに終わった。
「危ねー……、門脇」
菊池が安堵の声を漏らす。
理科室への廊下を曲がって知己とクロードを見かけた途端、門脇が猛然とダッシュしたのだから、菊池も止める間がなかったのだ。
「お前は、瞬間湯沸かし器か?!」
と思わず菊池が溢す。
「何故、彼は怒っているのですか?」
クロードが問えば
「……」
「さあ、何故でしょうね……」
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