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黙るしかない知己の代わりに、菊池が答える。
「知己先生とベタベタすんな!」
尚も怒りが収まらない様子の門脇に
(知己……先生……?)
クロードが僅かに笑った気がした。
「ニヤニヤするなよ! ムカつく!」
その様子にますます門脇が怒り狂う。
「うわー、なんだか『狂い牛』状態の門脇。赤い布持ってたら飛びかかられそう」
菊池が半分真面目に言った。
「既に飛びかかったじゃないか……煽るなよ、菊池」
いつ門脇がまたクロードに飛びかかるかと、知己は気が気ではない。
知己が気になるのは、それだけではない。
門脇がどこまで見たか……それが重要だ。
「こんな所まで何しに来たんだよ? その上、先生にくっついて……何なんだよ、お前?」
鼻息荒く門脇が問うが、その発言に
(さっきのは見られてなかったみたいだな)
知己は安心した。
(よく考えたら、見える訳ないな)
クロードが頬にキスしたのは、理科室の内側の知己に。
角度から言えば廊下の、しかも端にいた門脇には、二人がくっついていたような……そんな、なんとなくの様子しか見えないだろう。
「教師に『お前』とは、ダメじゃないですか? 門脇君」
門脇を諭すクロードだったが
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