第6話 やんごとなき菊池の成績事情

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「よく知っているな、クロード。だけど、菊池には、もう少し高い位置での背比べをして欲しいもんだ」  呆れたように知己が菊池を見つめた。 (なんだろう、ちょっとムカつく)  169.5㎝の門脇は、どんぐりだろうと菊池の成績だろうと、背の話をされて良い気持ちはしない。 「じゃあ、クロードもここで英語教える?」 「知己が構わないのであれば、そうさせて下さい」 「構わないどころか、担任としてお願いしたいくらいだ」  今度は、二人して、どかっと菊池の前に座り、 「さあ、始めようか」  と声を揃えて言った。 (なんだ、この光景は)  女子だったら、大喜びしそうな状態だ。  大奈曰く「東西夢の共演」の知己とクロードが机挟んで、前に座っている。  勉強どころではない。  ただ、菊池は女子でもなければ、知己に興味ある男子でもなかった。  苦手な化学と英語をさせられる羽目になり、その教師連合を前に、ただ嫌な汗をかいているだけだった。  理科室には、隣接する理科準備室に薬品や標本が、理科室の奥の後ろのロッカーにビーカーなどの実験機器が整然と片付けられていた。  律儀に門脇は、理科室奥から知己に渡されたメモ通りに準備を進めていた。  そこから、振り返って菊池達の方を見た。     
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