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「よく知っているな、クロード。だけど、菊池には、もう少し高い位置での背比べをして欲しいもんだ」
呆れたように知己が菊池を見つめた。
(なんだろう、ちょっとムカつく)
169.5㎝の門脇は、どんぐりだろうと菊池の成績だろうと、背の話をされて良い気持ちはしない。
「じゃあ、クロードもここで英語教える?」
「知己が構わないのであれば、そうさせて下さい」
「構わないどころか、担任としてお願いしたいくらいだ」
今度は、二人して、どかっと菊池の前に座り、
「さあ、始めようか」
と声を揃えて言った。
(なんだ、この光景は)
女子だったら、大喜びしそうな状態だ。
大奈曰く「東西夢の共演」の知己とクロードが机挟んで、前に座っている。
勉強どころではない。
ただ、菊池は女子でもなければ、知己に興味ある男子でもなかった。
苦手な化学と英語をさせられる羽目になり、その教師連合を前に、ただ嫌な汗をかいているだけだった。
理科室には、隣接する理科準備室に薬品や標本が、理科室の奥の後ろのロッカーにビーカーなどの実験機器が整然と片付けられていた。
律儀に門脇は、理科室奥から知己に渡されたメモ通りに準備を進めていた。
そこから、振り返って菊池達の方を見た。
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