301人が本棚に入れています
本棚に追加
/318ページ
(ちょっと同情するぜ、菊池。だが、赤点取る気持ちは、全くと言っていいほど分からないがな)
同時に二教科は学習できない。
とりあえず、今やってた化学が一段落付くまで、英語を待ってもらうことにした。
知己が菊池のノートを見ていた時、クロードも興味あったらしく、そのノートを覗き込んだ。
その時、僅かだが知己の前髪がクロードの額にさらりと触れた。
驚いて、知己が
「あ、ごめん」
後ろに反る。
クロードも
「sorry.」
と言った。
その向かいにいる菊池は
(……なんだろう。この居たたまれない雰囲気は。さながら、バミューダトライアングルに迷い込んだ船のような気持ちがするのは、気のせいだろうか)
さっきまでとは別の意味の嫌な汗をかいてた。
知己の様子が気になってちらちらと様子を見ていたものだから、もちろん門脇はその瞬間を見逃さなかった。
「この異人-! 先生から離れろ-!」
はるばる実験機器を納めているスチールロッカーの所から、怒鳴りつける。
「いじん……?」
聞き慣れぬ言葉に、クロードはきょとんとする。
(あいつ……、今、何時代を習っているんだ?)
謎に思う知己だった。
ふんふんと鼻息荒くやってきて、クロードと知己の間に丸椅子を持ってきて
「ふん!」
と割って座る。
「俺が教える!」
「はあ?」
最初のコメントを投稿しよう!