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突然の申し出に、知己は戸惑った。
「化学も英語も俺が教える。だから、実験の準備は先生がしろ」
ずいと、実験機器を揃えていたコンテナ箱を知己に押しつける。
「……」
(それもアリか)
知己は道具箱を受け取りつつ、思う。
(門脇なら大丈夫だろう。それよりも……)
クロードに対し、また門脇が暴れ牛状態になる方が面倒だ。
今度は、門脇がふんふん言いつつ菊池に化学と英語を教え、知己は、門脇のやりかけてた実験の準備を始めた。
クロードは一人
「うーん、じゃあ、私は何をしましょうか」
と悩んでいた。
それを聞き、門脇が
「することないんなら、職員室に帰れば?」
と意地悪く言ったが、
「そうはいきません。菊池くんの勉強で分からない所があったら、私が教えないと。菊池君、分からない所があったらいつでも聞いてください」
頑として帰ろうとしない。
「早く職員室に帰ったらいいのに。菊池に分からない所なんかないよ。この俺が教えているんだから」
門脇が冷ややかに言う。
「そうですか。でも念のため門脇君の代わりに私が知己の手伝いしながら、菊池君の質問を待ちます」
(なに?!)
門脇が目を剥く。
「知己ー! 私も何かお手伝いさせてくださいー」
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