第6話 やんごとなき菊池の成績事情

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 突然の申し出に、知己は戸惑った。 「化学も英語も俺が教える。だから、実験の準備は先生がしろ」  ずいと、実験機器を揃えていたコンテナ箱を知己に押しつける。 「……」 (それもアリか)  知己は道具箱を受け取りつつ、思う。 (門脇なら大丈夫だろう。それよりも……)  クロードに対し、また門脇が暴れ牛状態になる方が面倒だ。  今度は、門脇がふんふん言いつつ菊池に化学と英語を教え、知己は、門脇のやりかけてた実験の準備を始めた。  クロードは一人 「うーん、じゃあ、私は何をしましょうか」  と悩んでいた。  それを聞き、門脇が 「することないんなら、職員室に帰れば?」  と意地悪く言ったが、 「そうはいきません。菊池くんの勉強で分からない所があったら、私が教えないと。菊池君、分からない所があったらいつでも聞いてください」  頑として帰ろうとしない。 「早く職員室に帰ったらいいのに。菊池に分からない所なんかないよ。この俺が教えているんだから」  門脇が冷ややかに言う。 「そうですか。でも念のため門脇君の代わりに私が知己の手伝いしながら、菊池君の質問を待ちます」 (なに?!)  門脇が目を剥く。 「知己ー! 私も何かお手伝いさせてくださいー」     
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