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似たような外観の一軒家が立ち並ぶ住宅街に沿って歩くこと10分。男子校から共学へと変わってから3年になる高校に通う中条 宙は、ガチャリと扉が開く音にぱっと顔を上げた。
「おはよう。だい、き……?」
パタンと後ろ手に扉を閉めた背の高い青年が、宙の声に視線を向ける。どこか冬の冷たさを思い出すようなそれに、宙はきゅっと唇を引き結んだ。
「大樹じゃなくて悪かったな」
「……、大地もおはよう」
「ついでの挨拶どうも」
薄っぺらい学校指定の黒い鞄を肩にした大地が、嘲るようにハッと鼻を鳴らす。待ち人である橋宮 大樹と瓜二つの顔をした彼のその仕草は、宙を萎縮させた。
「びくびくしてんな。泣き虫」
「っ……してない。し、泣いてない」
「今は、だろ」
ガシャンと門扉の閉じる音に、宙が肩を揺らす。ほら見ろとばかりに冷めた目に見下ろされ、宙の体はますます小さくなった。
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