6.デート

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「このシャツは、こんな風にサマーセーターと重ねたら、秋のデートにも着れますよ。よかったら、メンズサイズもあるので、お揃いもできちゃいますよ」って、片目をつぶって見せた。 お茶目だけど、しっかり接客する。あーこの店員さんが好きだなぁって思った。 「このサマーセーター、男性用もありますか?」 「今、お持ちしますねー」って言う店員さんを見ながら、 まさがブラブラと店内を歩いて、他の店員さんがまさに話しかけている様子が視界の隅に入っていたけど、見ないようにした。 「こちらの色があります。」 生成りと薄いブルーのニット。 焼けた肌には、どちらも似合うと思ったけど、迷わず生成りを選んだ。自分には、薄いピンク色を。 お会計をして、服をショッピングバッグに入れてくれた時に「気に入ったの見つかったんだ?」って、まさが来て、荷物をさりげなく受け取ってくれていた。 「ありがとうございます」って、頭を下げていた店員さんが、耳元で「中身もイケメンさんですねー」って囁いたから、驚いた。 「ありがとうございます」って、頭を下げる店員さんと私のありがとうございますが重なり、お互い笑顔を交わして、まさの背中を追った。
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