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『天才美少女中学生シンガーソングライター現る。』
ポスターにはそう書いてあったと思う。
おれがamaneの音楽に一番最初に出会ったのは3年前、中学2年生の夏のことだ。
当時所属していた吹奏楽部の課題曲の入ったCDを買いに新宿のCD屋まで行った時に、たまたまインストアライブなるものをやっていたのがamaneだ。
人気があるアーティストであれば、CDを買った人だけが見られるライブだったのだろうが、売り出したてのamaneのライブには特に仕切りなども設けられておらず、CD屋に来た人誰でも見ることができた。
CDを買って、その姿を横目に通り過ぎようとしたおれの耳に、彼女の声が突き刺さった。
透明感の中に芯のある歌声で紡がれたその曲の冒頭のフレーズ。
『ねえ、自分にしか出来ないことなんて、たった一つだってあるのかな?』
バッとそちらを見ると、おれの足は、目は、耳は、もう少しも動けなくなってしまっていた。
たった2曲のライブが終わり、呆然と立ち尽くしていたおれは、数分後に我に帰り、すぐさまamaneのCDを持って再度レジに並ぶ。
家に帰ってずっとリピート再生した、2曲入りのシングル。
amaneが自分と同い年だと知り、悔しさと嫉妬と憧れで、どうにかなりそうだった。
それから、元々吹奏楽部でやっていたドラムに加えて、コードを覚え、ギターを練習した。
半年後。
いまかいまかと新曲を待ちわびたおれの元に入ってきたのは、amaneの無期限活動休止のニュースだった。
シングル一枚しかリリースしていないamaneの活動休止は一部ネットメディアで1日、いや、数時間だけ現れたあと、人々の記憶から瞬時に流れ去っていった。
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