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「本当に驚いたんだ。高校に入ったら、amaneがいたんだから」
「......そっか」
夕暮れの教室で、おれはそんな恥ずかしいことを本人に打ち明けていた。
どこか遠くで器楽部が練習している金管楽器の音が聞こえる。
静かな教室。
おれは、自分でも正しいことか分からず、それでもずっと気になっていることを、訊いてみることにした。
「一個だけ、ずっと訊きたいことがあるんだ」
わかってるよ、という感じで頷いて、市川は言う。
「なんで私が音楽をやめたかって?」
「......うん」
ふう、と息をついて、市川は話し始めた。
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