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志望校はいつもB判定。今まで1回だってA判定になったことは無かった。息抜きを失った私はストレスのやり場を失い、ますます勉強に集中出来なくなった。 1階では両親の言い争う声が聞こえる。 子育ては母に任せたい父と、協力して欲しい母。父にとって私達姉妹の存在は“お金がかかるもの”。 それに嫌気がさした姉は、家に寄り付かなくなってしまった。 母は私を姉の二の舞にさせまいと必死だった。 外面はいいけど中身は腐った家族。 何故か、隣の家と似てると感じた。 勉強も上手く進まず、息抜きもできなかった中学3年生の夏。 外が歪んで見えるほど暑い日。 自室の窓から見える、隣の家のベランダに白くて小さい何かが横たわっているのを見つけた。 目を凝らす。 ピクリとも動かないそれは、猫だった。 白猫の、まだ子猫だった。 暑さにやられたのか、生存競争に負けたのか。 白くて小さい子猫は、そこで息絶えていた。 死んでいる。と確信した瞬間。 ぞくり、と何かが背中を駆け上がった。 本来は悲しむべきこと。 しかし私は罪悪感と背徳感、それらの裏に隠された小さな悦楽を見逃すことが出来なかった。
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