ヘタレ義父と俺

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「嫌じゃないっていうか、むしろ赤の他人のガキに今までいろいろしてくれてありがとうっていうか」 「うん」 「ええと、その、俺は、俺の父さんは父さんだと思ってるし、こちらこそ、父さんが嫌じゃないのなら、これからもよろしくお願いしたいです」 「――うん」  あわあわと言葉を紡いだ俺に、父はほっとしたように頷いた。 「よかった。これからもよろしく、彰人」 「う、うん」  なんだか恥ずかしくなって、慌ててグラスに残ったビールを流し込む。  父も照れくさいのか、俺と同じようにグラスをあおった。缶にまだビールが残っていたので、それをもう一度半分ずつ注ぐ。 「ありがとう。彰人はビールいける口かな」 「どうかな、苦い飲み物って感じだけど……」  控えめな泡がグラスの中を上っていく。ぬるくなっただけでなく、少し気も抜けてしまったようだ。ついでに俺の気も抜けた。もちろん、これはいい意味でだけど。  少し父の顔が赤くなったような気がする。やっぱりそんなに強くないんだ。 「あ、そうだ」  俺は机にグラスを置いた。 「さっき言ってた、聞きたいことが一つ、って、何?」 「ああ……いや、それは、まぁ今度でいい」  父はもう一度ぐいとビールを飲み込んで、立ち上がろうとする。 「何? この際全部言ってよ」     
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