チョコレートメモリーズ

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チョコレートメモリーズ

「パパ、ばれんたいんってなあに?」 5歳になる娘の美咲(みさき)が、テレビを指差して言った。 ちょうど今、テレビはバレンタインチョコの特集をしていた。 隣に座る美咲に向き直って、俺は言った。 「いいかい?美咲、バレンタインっていうのは女の子が好きな男の子にチョコを、渡す日のことだよ」 「へぇーみさき、初めて知った!みさきはパパにチョコを渡したいな」 「そうか、そうか。パパ、嬉しいぞ~」 美咲の頭を優しくなでる。 美咲は大切な一人娘だ。 昔は病弱で入退院を繰り返していたが、今ではすっかり健康体だ。 愛しい小さな宝物。 娘からバレンタインチョコを貰えるなんて、天恵以外の何ものでもない。
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